AZ-1 ヘッドライトリレーをFETでPWMもしたい その1

 2015-11-01
AZ-1はバッテリーとヘッドライトが離れているので効果ありそうですな。
 

ヘッドライトリレーとは

ヘッドライトリレーは古くからあるアフターパーツで、リレーを使ったヘッドライトのバッ直(バッテリー直接)配線のこと。特に軽自動車はコストの関係でヘッドライトを駆動するスイッチがハンドルコラムにあったりして、そこから巡り巡ってヘッドライトまでたどり着くまでに配線抵抗等で電圧のドロップがどうしても発生してしまう。そこを改善するのがヘッドライトリレーである。
かつてはハイワッテージバルブに交換する際にリレー配線も同時に導入していたりした。昔のハイワッテージバルブは本当にハイワッテージであり、100W級のバルブは実際に負荷が増えているためリレーの導入が推奨されていた。現在普通に入手できるハイワッテージバルブと呼ばれると呼ばれるものは殆どが高効率バルブと言えるもので、通常のバルブの定格55/60W+αくらいで100W級の明るさを出せる(自称)ものなので実際に負荷が増えるわけでは無い(自称)。…なので、現在ヘッドライトリレーを導入するのはもっぱら配線抵抗を嫌ってのことである。
AZ-1はエンジンとバッテリーがリアにあり、ハンドルコラムのスイッチを介してフロントまで回ってようやくヘッドライトに到達するので、配線抵抗が結構あるんじゃないかなー?と思っているのでヘッドライトリレーを付けてみたい。後日、どの程度の電圧ドロップがあるか確認してみる予定である。

DSC13433600.jpg DSC13433700.jpg
ヘッドライト(Hi)点灯時、バッテリー電圧14.18V、ヘッドライトバルブ側電圧12.76Vでした。その差の1.42Vがバッテリーからバルブへの経路でドロップしています。意外とドロップが小さいな、というのが感想です。やはりリアにバッテリーがあるということで、ちゃんと(?)設計されていると言うことかも。 12V60Wの定格通りと仮定して、5.316A流れていますから、7.54Wが配線部分で消費されていることになります。さて、これをどこまで減らせるかな・・・。
(2015/11/03追記)

昔は各社から出ていたと思うが最近はHIDやLEDに押されてヘッドライトリレーを製品として出しているところは無いらしい。(量販レベルで)
というわけで自作するつもりではいたのですが、検索してみると結構パワーMOS FETを使っている例が多いみたいなので、私もそれにならってみる! みたい。


FETとは

所謂、電界効果トランジスタのことで普通トランジスタと言うとバイポーラトランジスタというものを指すがこれは電流を流すことで動作させる。一方電界効果トランジスタ(以降FET)は電圧を加える事で動作させる。馴染みの無い方には違いがよく分からないかもしれないですが、実際に電流を流すより、電圧を掛けるだけのほうがイロイロと効率が良いのです。
例えば、バイポーラトランジスタを「コップの水を掛けるとONになるスイッチ」だとすると、FETは「水を入れたコップを上に乗せるとONになるスイッチ」だと言える。つまり、バイポーラの方は常に水をかけ続けなければON状態を維持できないしその分水を消費してしまうのに対して、FETは最初にコップ一杯の水を汲むだけで良いのである。 実際にはイロイロ特性が違ってきますがイメージはそんな感じで。。


PWMとは

ここで言うPWMはパルス幅変調の事。スイッチのONとOFFを高速で繰り返しその比率を制御することでONとOFFの中間を擬似的に作り出す事が出来ます。今回はPWMを使って突入電流を低減するためのソフトスタートを実装したいと思います。
PWM制御の必要性:
FETのゲート端子にONとOFFの中間的な電圧を掛けることで、FETを直接、中間的なスイッチとして使用することも可能ですが、その場合はFETの発熱が大幅に増えてしまうため、多くの場合はPWMで駆動して使用されます。
FETがOFFの時は殆ど(無視できるレベルで)電流を通さないので、FETの発熱はありません。
FETがONの時はFETは自分自身の抵抗を全力で低くするため、その小さな抵抗(数十mΩから数mΩ程度)分の発熱しかありません。
しかし、FETがONとOFFの中間の場合、FETはゲートの電位に見合った抵抗値を発揮するため、そこで発熱が生じます。

ソフトスタートの必要性:
ヘッドライトに使用される白熱球は冷えているときは抵抗値が低く、発熱すると抵抗値が高くなる性質が有り、ヘッドライトの55Wとか60Wとかいう消費電力のスペックは、発熱して抵抗値が高くなって平衡状態になった時のモノであり、つまり冷えている最初の電源投入時はスペック以上の電流(突入電流)が一時的に流れることになります。例えば60Wのハロゲンヘッドライトだと12V電源で5A程度流れることになりますが、突入電流はその10倍前後流れるらしいです。無論それに堪えられるようにバルブは製造されていますが、ソフトスタートによって突入電流を低減することでその寿命を長らえさせることができます。リレー回路によって配線抵抗が改善されると当然バルブの負担は増える(スペック通りの負荷がかかるという意味ですが)ので、やっておいて損は無いのです。


目指したい姿

つまりは、ヘッドライトをソフトスタートさせるFETを使ったバッ直回路、である。


回路案

head-fet-pwm-spice.png
まずは目指したい姿を実現できそうっぽい回路を書いてみた。

概要

電源:バッテリー直結電源
入力信号:ヘッドライト点灯の配線
出力信号:ヘッドライトを駆動できる大電流FETの吸い込み回路
中身は良くあるオペアンプ2個を使ったPWM回路である。

電源部分

AZ-1のヘッドライトはマイナスコントロール(点灯時にコントロール線がGNDに落ちる)なので、一旦ソレを反転させる形で内部用の電源を作成する。
Q1はPNPのバイポーラトランジスタでヘッドライト信号線がGNDに落ちるとベース電流が流れてQ1がVCCに電源を通す。

AZ-1はプラスコントロールでした。どこで勘違いしてたんだろう・・。Q1は不要でD2,3,4,5に直接電源をぶち込めば充分ですね。
(2015/11/03追記)
D2,3,4,5のダイオードは車両のバッテリー電源を適当に下げておくために入れてみた物。今回使用予定のオペアンプの動作電圧が16Vまで(絶対最大定格18V)なので、このダイオードで2~3V程下げておく。これで車両側の電圧が18Vになっても中身は16~15V程度になる予定。そもそも車両電源が18Vになるのは車が故障している状態なので、これで問題ないハズ。
C3,4はVCCの電圧安定化のために入れてあるオマジナイのキャパシタ。車両電源側のリップルも多少抑えられるはず。
R11はQ1がOFFになってVCCに電源が供給されなくなった際に速やかにVCCをGNDに落とすためのもの。C2をディスチャージする際の通り道でもある。
head-fet-pwm-spice-power.png
LTspiceでシミュレーションした。bat+電源は常に14Vを出力する。headligt電源は普段は14Vでヘッドライトを点灯させようとするときにGNDに落ちる。headlight電源がGNDに落ちるとVCC電源が立ち上がるが、D2,3,4,5のダイオードによって若干電圧が下がった状態になる。headlight電源が立ち上がるとVCC電源はR11を通してディスチャージされて若干ユックリとGNDへ落ちていく。

三角波部分

オペアンプを用いた三角波作成の簡易(ノコギリ波)の方の典型的回路です。U1で三角波を発振させる。
R1,2,3で三角波の振幅を調整。プルアップ側が900kとだいぶ弱いのは、三角波の上の方を下げておくため(確実にPWM100%を出すため)の調整部分。
C1とR4で三角波の発振周波数を調整する。今回使用予定のオペアンプはあまり出力電流を取れないので容量を小さく取っている。シミュレーションでは100Hz程度になっている。
ここで作成した三角波を後段のU2で使用している。

コンパレータ部分

オペアンプを用いたPWM出力の典型的回路です。U2でPWM出力を出す。
R9はオペアンプの保護とFETの寄生振動避けのオマジナイ。
C2は三角波と比較させる電位をチャージする容量。U2はここの電位と、三角波の電位とを比較してC2の電位が高ければHiを出力、そうで無ければLoを出力します。三角波より充分低い電位の場合は常にLoを出力するし逆に三角波より充分高い場合は常にHiを出力します。三角波の中間くらいの電位の場合はHiとLoをそのレベルに見合った比率で出します。
R7,14はC2チャージ速度を決める抵抗。R7は固定抵抗、R14は半固定抵抗としてソフトスタートにかける時間を調整する。
D1はヘッドライトOFF時に速やかにC2をディスチャージするための経路。これが無くてもR7,14からユックリ抜けて行くがD1があった方が早い。
head-fet-pwm-spice-pwmout.png head-fet-pwm-spice-pwmout2.png
三角波とC2チャージ電圧、PWM出力波形をシミュレーションした。上段のV(n001)が三角波波形。中段V(n011)がC2電圧、下段V(n008)がPWM出力波形。
ソフトスタート開始時から三角波が発振し、C2が徐々にチャージされていっているのが分かる。さらに最初は常にLo出力だったPWM出力が2.4s付近で常にHi出力に変わっている。
三角波とPWM波が潰れて見辛いので発信周波数を落としてシミュレーションしたのが右図。PWM出力のON期間が徐々に増えていって最終的には100%出力になっているのがわかる。

負荷駆動部分

NチャンネルパワーMOS FETを用いてヘッドライトを駆動する。ここは実際にヘッドライトの駆動電流が流れるため放熱等を考える必要がある。
R12はヘッドライトOFF時に確実にOFFになるように息の根を止めるための保険。
R10はシミュレーションする際の、ヘッドライト代わりの負荷なので実際に回路を作成する際には存在しない。
M2は駆動可能な電流やその際の発熱等の特性を考えて選定する必要がある。現在は仮のモノを置いている。
head-fet-pwm-spice-charge_curr.png head-fet-pwm-spice-charge_curr2.png
C2チャージ電圧とR10に流れる電流をプロットした。C2電圧に従ってR10に流れる電流が4.6A程度にまでPWMでソフトスタートしているのがわかる。
ここでR14を1000kΩに設定(半固定抵抗)してやると、ソフトスタート期間が約20sに増える。(右図)


予定


・PWM回路を実際に組んで動作確認
・実車両のデータ採取(配線抵抗、突入電流等)とその環境立ち上げ
・出力段パワーMOS FETの選定


出来れば、左右のバルブを一つのFETで駆動したいので、発熱がどうなるかちゃんと確認しとかないとかなー、と思ってます。
左右別々のFETだと、ハイビーム、ロービームと合わせて4つも使っちゃうのがねぇ・・・ いや良いんだけども・・


ヘッドライトリレー関連:
AZ-1 ヘッドライトリレーをFETでPWMもしたい その1 (今ココ)
AZ-1 ヘッドライトリレーをFETでPWMもしたい その2


 
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